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唇が離れていく。
勇は、わけもわからずに呆然としていた。
「な、なによ! 私じゃ……嫌なの?」
やはり勇は瑠花のことが……考えて、ナナは泣きたくなる。
「違う、嫌じゃない。俺は……」
ナナの肩に、勇の手が置かれる。顔が近付く。その真剣な表情に、ナナの鼓動が高鳴る。
「お前が……好きだ」
勇が――あの無駄にモテる鈍感男が――好きだと、言ってくれた。
こんなに嬉しいことはない。
「あれ?」
嬉しくて、瞳から涙が零れた。
勇はそれを、優しく拭ってくれた。
「私も……勇が好き」
勇の首に手を回す。
甘い感触が、唇に広がった。
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