Sとの決着/ブラックダイヤモンド

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「いや……その……」 自然と、彼女の唇を見てしまう。あの甘く、柔らかい感触……思い出すだけで、胸の鼓動が速くなる。 「……キス、したい」 消え入りそうなほど、小さい声が口から出た。恥ずかしくて、これ以上大きな声が出ない。 ナナは一瞬、きょとんとした表情をしたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。 「うん」 距離が近づく。触れる。二人だけの、甘い時間。今まで考えていた事など、どうでもよくなった。 ゆっくりと顔を離す。視線が重なる。その瞳の美しさに、勇は目を離せなくなる。 「もっと……」 ナナの甘い声。 勇は、吸い込まれるように、口付けした。
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