765人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
「いや……その……」
自然と、彼女の唇を見てしまう。あの甘く、柔らかい感触……思い出すだけで、胸の鼓動が速くなる。
「……キス、したい」
消え入りそうなほど、小さい声が口から出た。恥ずかしくて、これ以上大きな声が出ない。
ナナは一瞬、きょとんとした表情をしたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「うん」
距離が近づく。触れる。二人だけの、甘い時間。今まで考えていた事など、どうでもよくなった。
ゆっくりと顔を離す。視線が重なる。その瞳の美しさに、勇は目を離せなくなる。
「もっと……」
ナナの甘い声。
勇は、吸い込まれるように、口付けした。
最初のコメントを投稿しよう!