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「随分とお熱いですね。嫉妬してしまいますわ」
その声は、公園の入り口から聞こえた。奴……高円寺小夜子の声だ。
「何の用? いま、忙しいんだけど」
ナナの雰囲気が一変。表情から、甘さが消えた。
「それは失礼しました。ただ、そろそろ勇君を頂こうと思いまして」
小夜子は、上品な足取りで近づいてくる。
ふざけるな。ナナは淑女に向かって、そう言った。
「勇、いくよ」
「ああ」
勇はベンチから立ち上がる。
心の準備は既にできている。あとは、変身するだけだ。
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