Sとの決着/ブラックダイヤモンド

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目の前で起こる異常事態を、勇は止めることができなかった。 「な、ナナ……」 ぼろぼろの体を動かし、手を伸ばす。 ブラックダイヤモンドに覆われたナナには、届かない。 「心配しなくても、ナナさんは生きていますよ。まぁ、死んでいるのと同じですけど」 サーティーン・ドーパントの姿が、高円寺小夜子に戻る。 ナナを返せ、と勇は言った。 「返して欲しければ、私に忠誠を誓いなさい」 ふざけるな! と叫ぼうとするが、もう声がでない。 「いい返事を待っていますよ」 小夜子の姿が遠ざかっていく。 それを、勇は見ていることしかできなかった。
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