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闇に沈んでいた意識が、少しずつ覚めていく。
ぼんやりとした感覚のなか、勇は足元に温かいものを感じた。
「……ナナ?」
ベッドに横たわる勇のすぐ側に、上半身を預ける形で眠るナナがいる。状況を見るかぎり、彼女は勇の看病をしていたようだ。
(あの後からずっと、側にいてくれたのか……)
上半身を起こし、ナナの金色の髪を撫でる。一本一本が絡まることなく真っ直ぐと伸びる髪は、触り心地がいい。
「ありがとう……ナナ」
疲れきった彼女の横顔に、勇はそっと触れた。
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