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旅人が聞こえた声に唖然としていると、商人は振っていた瓶を止めました。
見ると驚くことにあれほど曇っていたガラス瓶が、はっきりと中身が見えるほど透き通っていたのです。
商人はようやくか、と言いたげな顔で瓶の側面を指で弾きます。
その瓶の中には―
『いっつー…何すんだよ、このくそジジィ! せっかく寝てたのにこんな乱暴に起こしやがって!』
身の丈はおよそ6cmの少年が入っていました。
背中には透けるほど薄い羽が生えています。
「…まさか、本当に『妖精』がいたなんて…!」
旅人の声に、瓶の少年の目が旅人をとらえました。
橙色の瞳には生意気そうな光が灯っています。
瓶の少年は旅人を上から下までじろじろと見た後
『アンタ、誰?』
先程から聞こえる声で旅人に尋ねました。
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