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「サト、あたしもう準備できてるから。早くしてよね」
「……おぉ」
高校2年になった俺たちは今、同じ学校に通っている。
公立の、ちょっと難しい進学校だ。
中学の進路相談で、無理だと言われたその高校。
だけど。
菜穂が行くから。
菜穂と同じ高校に行きたいから。
嫌いな勉強も頑張って、今こうして毎朝菜穂と一緒に登校できる。
あのときは頑張って良かったとつくづく思う。
だけど菜穂が振り向いてくれることはない。
俺を“弟”としてしか見てないんだ。
自慢になるかもしれないけど、俺は結構モテる。
主に真面目ちゃんばかりの進学校で、入学すると同時に髪を金色に染めて奇抜に仕上げたし、美形だったと言われている本当の母さんに似たこの顔だって悪くないと思う。
告白されるなんて日常茶飯事だし、女の子が言い寄って来ない日なんてのもないから。
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