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急に低くなった菜穂の声に少しびっくりしたけど、慌ててそのペースに飲まれないように口を開く。
「……何で?」
今更……さっき菜穂って言ったときは何も言わなかったのに。
「何でも! ダメ、なの……」
今度は声が弱々しい。
どうした?
「何かあった?」
「……っ」
可愛い菜穂。悲しむなよ。
ずいっと菜穂の顔を覗き込むように見ると、思いっきり顔をそらされた。
うわ、結構ショック。
「何でもないわ。うん……別に菜穂って呼んでいい」
「さっきと言ってること真逆だな」
そう言って笑ってやると、菜穂は困ったように笑った。
それが妙に大人っぽくて、体中がぞくぞくと震えた。
確実に女として見てるからこそ、出てくる反応。
菜穂……他人だったら良かったのにな。
そしたら、深いキスとかして体中を撫で回しても別に普通のことだった。
義理だからって、やっぱり姉弟の壁は厚かいんだ。
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