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「ふぅ…」
一通り終わったのか彼は息を吐いた。
ともに静寂が訪れる。
「…へへっ、どうやった?」
「え、あ…綺麗やった」
直感に出た言葉だった。
しかし‘綺麗’では言い表わせられないほどの音色だったと思う。
「よかった、初めて人に聞かせたから」
「初めてやったん?」
彼は小さく「うん」と言った。
彼の表情は伺えないが、きっと赤い顔をしているのだろう。
「なんか…うーん、言い表わせへんわ。暖かくて優しくて…でもどこか心強くて」
思ったことをバンバン言ってったら、彼はいきなり笑いだした。
何事かと思い戸惑っていたわたしだったが、彼は嬉しそうに
「そんな褒めてもなんもでぇへんで!褒め上手やなぁ」
そう言った。
別に褒めているわけじゃなかった。
ただ単に思っていたことを正直に話していただけなのに。
でもわたしは彼が笑ってくれたことが、なんとなく嬉しかった。
「無理と褒めてるんちゃうのに…吹いてたの、何の楽器なん?」
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