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気付いた。
「これは警察内部の奴が流したやつなんだ」
「答えが先行してるけど、つまりはそう。これは個人に向けた物じゃなくて“団体引いては組に対する”販売ページなんだよ。ここの買い付けてる単位が、薬なら1キロから、こんな量を一般人が買えるわけもないから、必然的にそれを売る売人に向けているってことが分かるよね?」
城外組はこうした違法物品の最大手で、裏での流通をほとんど独占してる、と白百合は思った。
「それで。そのUSBのこのページについては分かった。……でも、そうなると何でそんな団体向けのものを流すんだ?それのアクセスが出来ても一般人には使い切れないだろ」
「流しているのは押収物管理の警察官を買収したと所長は思ってる?」
「なんだよいきなり……」
そうじゃないのか、と尋ねると奏は首を横に振る。
「なんだよ、出所は警察だろ?」
「そうちゃそうちゃだけど。所長はこのページが今もまだ存在していることに、いや、“私がどうやってパスワードを手に入れた”と思う?」
「闇オクの出品者だろ?」
「そう、ではこのような団体向けのカタログを私はどうやって手に入れたでしょうか」
「………?あれ、なんで“個人”のそれを持ってるんだよ」
「気付いたッスね。私は架空の暴力団名義でこれを買いました。勿論指定された銀行で送金してますが、これは数字だけで実際には送金されていません。なのにこれは来た━━」
奏はそこで白百合に向き直る。
「初めの言葉を覆します。城外組は警察と連携しています。つまりはスパイです」
「スパイ!?」
「当然城外組は実在しますし、こうしたことをやっているのは一部の幹部だけですね。所長の想像はハズレれっちゃあハズレですけど流している、ってのは合ってますね」
でも、と白百合は口を開く。
「そんな犬猿の中のヤクザと警察が手を組むなんて……」
「最初に言った通り、麻薬の流通ルートが潰れて城外組は資金的にもキツいンスよ。そこで城外組は他の暴力団やヤクザを摘発する材料を用意し、ソイツらを一網打尽にして組の存続を掛けた」
「謝礼金か、しかも明るみに出ない」
「そう。城外組はダークヒーローとして、敵対勢力にそのUSBを渡して麻薬なんかの違法物資の販売を始めた。勿論警察の管理下で。そしてそのページで売買が行われたら即時強制捜査ってわけ。必要悪って感じじゃないね。ダークヒーロー、やっぱりこれが一番合ってる」
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