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女性は苦笑しながら城外組の屋敷の廊下を歩きながら、「外課か……懐かしいな」と呟く。
彼女の名前は辻卍(つじ まんじ)。
今はただの一人の刑事であった。
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白百合の姿はクラブや居酒屋などが立ち並ぶ歓楽街にあった。
彼の前には周りのネオンライトに負けじと光る、クラブシフトがあった。
店構えはネオンライト以外は質素で、窓もなく、所属するホステスの顔写真の一覧の看板があり、意匠彫りの木製の扉があるだけだった。
そして白百合が会いに来た例の赤毛の少女は、この一覧にはいなかった。
「うーん。それほど女の子は居ないように見えるけど……まぁ、いっか~」
そんな軽く流し、白百合は木製の扉を開いた。
中からはまばゆいばかりの光が溢れていて、一般的な暴力団の運営する怪しげなクラブの雰囲気はまるで感じなかった。
だがボーイに混じっているいかつい男たちが、仏頂面でいるのを見て、ここが暴力団経営のクラブだと見せた。
「いらっしゃいませお客様」
入ってすぐのレジで店内を見渡していた白百合のもとに、スーツを着たボーイが現れた。
「あのー、初めて入ったんですけど大丈夫ですか?」
白百合は尋ねた。
こうした店には、たまにメンバーカードの提示や誰かからの紹介が無いと入れない店がある。
尋ねられたボーイは、そんな白百合にすぐに笑顔を向ける。
「そのようなことはございません。初めての方は歓迎でございます。では、お席にご案内致します」
「よかった……」
それはボーイに向けたものであり、心の底から漏れ出てしまった言葉だった。
案内されたのはボックス席で、L字型のソファーにテーブルがあり磨りガラスで周りからの視線を遮断する、一般的な席であった。
「ではまず席に着く女の子を選んでもらうのですが、外でお決めになりましたか?」
「あ、いや。もしそういったメニューみたいなのがあったら見たいなぁ……」
「ではこちらを」
ボーイは慣れた動作で小脇に抱えていたファイルのようなものを、白百合に手渡した。
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