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パンッ!パンッ!パンッ!
三回の小さな火薬が発火した、銃声が部屋にこだました。
「な、なんだコイツぁ!」
「親父様、早く逃げてを、ぐっ、がぁ、ぐがぁぁぁぁ!!」
「おい、おい、どうしたんだ!」
親父様と呼ばれた老人を囲うようにして、ガードする三人の男たち。
その手には日本においては所持することの許されない拳銃が握られていた。
その内の一人が首を掻きむしるようなしぐさをする。
「はぁはぁはぁはぁはぁ、息が、でき、━━━」
男はだらしなく犬のように唾液を口元から漏らし目を開いたまま絶命した。
二人の男から小さな悲鳴が上がる。
「ふははは、なんだよなんだよ。日本のマフィアは銃の使い方も分からないのよ。まぁ俺には効かないがな」
この場において、死んだ男を含めて五人の姿があった。
その内の四人がさきの四人であり、それと対峙するように立っているのは髪をオールバックにしニヒルに笑みを浮かべる男だった。
「貴様、何者だ。身内のもので、は、ぐぅぅ!」
「親父!!」
「この野郎!」
後ろの老人が苦しみだすと、ガードしていた内の一人が正面の男に殴り掛かった。
さっき彼らはそれぞれ一発づつ発砲したが、それは男の一歩手前で弾かれた。
弾丸は壁に当たり弾んだピンポン玉のように跳弾し、厚いカーペットが敷かれた床を一発が着弾し残りは天井に着弾した。
男の見えざる力に老人もガードしていた二人も理解が出来ていなかったが、ただ、銃器が効かないことはだけは確かだった。
だからガードしていた男は自らの拳で男に殴り掛かろうとしたのだ。
だからといってその拳が有効とは言えない。
その証拠に、殴り掛かった男の拳は目の前のオールバックの男の顔面に届かず動きがストップしていた。
「な、なんだよこりゃ!」
「っ!」
「ははは、無知とは幸せだな。私に拳など」
男はその拳に触れる。
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