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ユキはシロだな、と言うのが白百合小百合の見方だった。
言動はまだ幼く、その端々からユキがまだ“未成年である”と印象付けた。
ショートの赤い髪に、衣装はクラブ提供なのだろうが、露出の高いチャイナ服を着てはいるが。
白百合の目にはそう見えた。
何よりも新田しずかの証言にあるような人物ではなく、また薬を流すバイヤーとしても彼女は“信用ならなかった”。
彼女は相談した時にクラブへ入ってはいないようだが、ユキと接して分かった。
彼女のような子供に覚醒剤を進められても、誰がそれに手を伸ばすだろうか?
それが大の大人なら尚更だ。
学生は未知の経験に貪欲だが、新田史朗のように社会の荒波の中を舵取りするような人は、こうした人物からの誘いに乗らない。
善悪以前に信頼感が皆無だからだ。
「お待たせしました。ははは、ベルを押せとマネージャーに怒られてしまいました」
舌をチロッと出してユキは早速水割りの酒を作り始める。
別に水割りとは言ってはいないが、それをすぐに手を付けてしまう辺りを見ると、それくらいしか作れないのだろう。
さっきの続きから、ユキがもし覚醒剤を新田史朗に譲渡しようとしても、子供に言いくるめられるわけもない。
いくら今の現状があろうと、彼は彼女から覚醒剤を譲渡されもしないし買いもしない。
「出来ました!」
「ん、あぁ。出来たね」
白百合はテーブルの方に目を向けると、そこにはグラスが一つしかなかった。
「あれ、ユキちゃんの分は?」
「あぁ……」
ユキは気まずそうに視線を泳がせ、白百合の方に近寄る。
「ごめんなさい、私、お酒アウトなんです。なので……」
手で壁を作り小さな声でユキは言った。
「そうなんだ。はは、まぁいいよ。僕だって飲めるタイプじゃないからね。ジュースとかは無いんだよね?」
ユキは頷いた。
「なら水割りの水で乾杯でもしようよ。それくらいは出来るだろ?」
白百合は水割りのグラスの口を持ちながら言った。
ユキは「はい!」と言って、ボトルの水を空いたグラスに注ぎ入れた。
「それじゃ、かんぱーい!」
「かんぱーい!」
水割りを一気に飲む白百合に、水を一気に飲むユキ。
互いのグラスが空になると、互いの顔を見合せ、吹き出した。
「あははははは!」
「くす、ふふふふ!」
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