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それから白百合はユキの水割りをチビチビ飲みながら、ユキは水割りの水を飲みながら。
談笑を続けていた。
そうしていると、あのマネージャーが二人のテーブルに歩み寄ってきた。
「お客様、30分経ちました」
「あ、もうですか?」
「このまま延長しますか?延長は一時間単位となっております」
「私、指名されるほどじゃないからな。……でも、出来たら指名して欲しいな……なんて」
ユキは子供のようにそんなことを言った。
が、これを聞いたマネージャーは鋭い目でユキを見た。
それにユキは肩を小さく揺らした。
「す、すみません……」
「……。お客様、私からもお詫びします」
ユキを一瞥しながらも、無礼を詫び、白百合に頭を下げる。
それに対し、白百合は片手を降った。
「いやいや、なかなか新鮮な子だし。もとより延長したかったんだ。二時間頼むよ」
「ありがとうございます。ユキもお客様に」
「あ、ありがとうございます」
二人揃って頭を下げられ、白百合は後ろ髪を掻きながら「ははは……」と曖昧に笑った。
マネージャーはユキに少し指南してから、テーブルに置かれたボトルを持ってカウンターに戻っていた。
「これは確実に閉店後にお説教だよ~」
頭を抱えて言う彼女だが、別にそれに対して、特別の恐怖を抱いているようではなく。
それは小さな悪さをした生徒が先生に、小言を言われるかのようだった。
「楽しそうだね」
白百合が言うと、ユキは躊躇しながらも「はい」と答えた。
「ホステスとか、クラブで働くって。あんまり良いイメージないじゃないですか、でも、実際働いて見ると……楽しいんですよ。マネージャーには小言言われたり、お姉さん方には雑用扱いされるけど。楽しいんです」
「ふーん。君はいい子だね」
「なんか、子供のように扱ってませんか?私、こんなでも二十歳ですよ」
頬を膨らませ、宮と被る行動を自然な動作をするユキに、白百合は息を一つ吐いた。
「どうしましたか?」
さっきまでの白百合とは何かが違うと感じたユキは尋ねた。
「いや、初め君を知ったとき。きっと大変なんだろな、って思ったんだよ」
「何の話ですか?」
「そういえばまだ自己紹介をしていなかったね。僕は白百合小百合、新田しずかに依頼され君を調査しに来たよ“新田幸(にった みゆき)さん”」
「な、なんでっ……。なんで私のこと……」
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