34人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん?……それはね━━」
白百合は動揺を隠さずに聞くユキに答えた。
それを聞いたユキは一瞬、彼の言っていることが分からなかったが、一瞬で彼がなぜ自分を指名したのか気付く。
白百合小百合は名乗った。
「探偵だからですよ。新田幸さん」
━━━━━━━━━━━━━━
新田幸、それがユキの本名だ。
新田幸は新田史朗と前妻との間の子で、新田史朗が彼女の養育権を持っており、新田史朗の連れ子という位置付けである。
白百合小百合が見て睨んだ通り、彼女はまだ十六を過ぎたばかりの女子高生だった。
『カルミヤ女学院?山奥にあるお嬢様学校が新田幸の高校なのか?』
『みたいだね。というか高校だけじゃなくて、小中高一貫のエスカレーター式の女子学校みたい。全寮制で、今みたく夏休みの時期だけ寮から出られるみたい』
奏は件のカルミヤ女学院のホームページを開き、それの学校紹介などのページを開いていく。
『某ブランド品と間違えそうだなカシミヤ女学院』
『言ったそばからッスか!?どんだけモッコモコのフワッフワなんですか!』
『ははは、ごめんわざとのようでガチで間違えました』
『ガチでですか……まぁ、いいです。新田幸は三週間前から寮を出て帰省したと“寮母の報告書にはありますね”』
奏は最小化させていた、カルミヤ女学院の寮を管理する寮母のパソコンの記録を表示した。
もちろんこれは善意的に提供されたものではなく、もし提供を申し入れても提供しはくれないだろうから、白百合は奏に頼んでこのデータを取ってきてもらったのだ。
『三週間。で、誰が迎えに来たかは分かる?』
『え、そりゃ新田史朗ってパパさんじゃないんですか?』
『だったら新田しずかは“ここへは来ないさ”』
『………?』
奏の頭上に疑問符が浮かぶが、白百合の指示通り寮母の記録をたどり、それらしきものを探した。
最初のコメントを投稿しよう!