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机で物事を考えるのは探偵ではない。
探偵は自分の目で事実を見て、自分の視点、客観的視点で調べる。
それが白百合小百合であった。
「ばんわーこんちわです」
「おぉ~来たね来たね~僕の天使ぃ~」
白百合小百合とはこういう男である。
ガチャッと事務所の扉を開いたのは、髪をポニーテールに結んだ少女だった。
「どうしたんッスか所長。えらく機嫌が━━」
「いやー。今日の依頼人が美人でさ、マークする女の子も可愛い子なんだよ~」
「そんなでまた料金割り引かないでくださいよ“援助金”が出るからといっても、仕事には真面目にならないといけませんよ!」
「分かってるって。奏(かな)は真面目な良い子だぁ~」
白百合小百合が新田しずかには見せなかった、このようなダレた態度で話すのは、ここの所員の一人である奏という少女だった。
彼女は夜勤詰めであり、今の時間から彼女の勤務時間なのである。
「勿論奏も可愛いよ、僕のすさんだ探偵事務所において君は天使、オアシス、女神、弁天さま、マリア、楊貴妃も同じなのだから」
「東洋も西洋もごっちゃにしないでくださいよ。というか保護者のあなたが言うとかなりマズイですから!」
奏は怒鳴った。
彼女は戸籍上、白百合小百合が保護者となっている。
奏はそうしたところから怒鳴ったのだ。
しかし、それも白百合には関係なかった。
「つれないなぁー。保護者なら互いの関係をもっと親密にしないと~」
「求める方向性があたしと所長とでは対極しています!」
奏はプイッと顔を背けて、自分の定位置のデスクトップパソコンの置いてあるデスクのキャスター付きの椅子に座る。
「一応援助金をさっ引いて黒字ではありますが、給料は援助金から工面しないと出ませんよ。私や“天音くん”、“静音くん”、“宮さん”の家賃やここの家賃も別援助でいただいてなんだか申し訳ないですよ」
「いいのいいの。これだって結局は必要経費としてスルーされる程度なんだから。そもそも、僕らみたいな小市民程度の生活水準で生きている限りは援助は半永久的に行われるさ」
「奏は真面目過ぎだよ」 と白百合は頭の後ろで手を組む。
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