『探偵』(前編)

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「つか、僕らには本来もっとお金が舞い降りてもいいんだよ。それだけの価値を僕や奏、宮やあの二人にはあるんだ。これだけの援助金で首を繋いでいられるなんて、向こう方はずいぶんと嬉しく思ってくれてるさ」 「ぶぅー……」 自分の言葉を聞き入れない白百合に頬を膨らませ、怒ってますよ、と意思表示をするが。 その表情は十人中八人はドキュンと胸を射抜かれるだろう。 白百合小百合もキュンとした。 「はぐぅぅ!! 奏、今からでも良いから僕のことをパパと呼ばな━━」 「い、嫌だったって前にも前にもその前にも言いましたよ!?それに歳が七つも違う所長をそんな目では見れません!」 「そんな、親子の間に歳の差は関係無いだろ!」 「おかしな変換をしないでください!」 「なんだよつれないなぁ~」 ふてくされた白百合はソファーの上で、器用に体育座りをして顔を膝に埋めた。 「もー、あんまり鬱陶しと怒りますよ?」 「……だって」 「とりあえず、そこの上にあるものはなんですか?依頼ですよね?」 奏が気付いたのは、机に置かれた赤い髪の少女の写真としずかから聴取したときのメモだった。 白百合は「あぁ、そうだった」と言って、顔を上げ腰を曲げてメモと少女の写真を摘まんで奏の方に向けた。 キャスターで椅子ごと移動してきた奏はそれを受け取った。 白百合は依頼の内容を奏に話そうと口を開き掛けたが、先に開いたのは奏だった。 「と、盗撮ぅぅぅッ!?」 「ちがぁ─────う!!違いますから!僕は同世代の子にしか興味ありませんから!」 弁解する白百合だが、その言葉にはかなり語弊があり、奏には伝わらない。 ゴロゴロと椅子を移動させ、白百合から離れた奏は見た目素人の手の構えを取る。 某ウルトラな星から来た巨人が不思議光線を出すポーズと酷似していた。
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