act 1

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あたしの名前は伊藤華恋。 一応彼氏持ち。彼の名前は陸。 けど…。 あたしには、秘密があるんだ。 誰にも言えない秘密が…―――。 「華恋~。暇ぁ~?」 就業間際に、声を掛けて来たのは、同期入社の永井雛子。 「まぁ…暇だけど。」 苦笑しながら、華恋は答えた。 「聞いてよ~。」 「何?また愚痴なの?」 雛子がこう言って来る時は、大抵彼氏と喧嘩した時だから。 「…立ち話も何だし、呑みに行こうよ。」 …やれやれ。 「雛のおごりね?」 ―――女ふたり夜の喧騒の中に消えて行く。 「で、今回は何?」 華恋は、生ビールを呑みながら、素っ気なく聞く。 「浮気だよ。」 「な~んだ。そんなのウチの陸に比べたら、可愛いもんじゃない?」 陸は女癖が最悪だ。 今夜だって何やってるのか、分かりゃしない。 「ほっとけば?」 華恋は言った。 「でもさ~、悔しいじゃないの?」 「じゃ、自分もしてみたら?浮気?」 雛は目を丸くして驚いた。 「華恋はあるの?浮気?」 「まさか。馬鹿馬鹿しい。」 陸に裏切られるのには、悲しいかな、慣れちゃったよ。 それよりも華恋の心を支配している人物がいた・・・-------。 華恋の上司。 しかも・・・女性。 名前は------川野碧。 黒いショートヘアに、丹精な顔立ち。 しかし・・・気性が荒い。部署内で碧の怒鳴り声が聞こえない日はないくらい。 「おい、山口。てめぇ何年働いててこんな凡ミスしやがるんだ?」 「す・・・すみません、川野主任。」 「すみませんで済めばケーサツはいらねぇんだよ。」 誰もが苦手な川野碧。 でも。 華恋はいつからか主任の姿を追うようになっていた・・・---------。
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