そらまめ

5/10
前へ
/10ページ
次へ
びっくりして塞いだ目をそっと開けた僕は、ぽかんと口をあけた それは、大きな大きなねじりパンのような豆のつるだった 豆のつるなんて見たことないけど、童話の「ジャックとまめの木」に出てきた絵とそっくりだった たしか、このつるをずっとずっとのぼって、雲の上に行くと、金の卵をうむニワトリと、なんでも出てくる魔法のツボがあるんだ …それがあれば、ほしかったゲームも、自転車も、なんでもかんでも思い通りだ ぼくはえへへと笑って、急いで一番大きなリュックサックをしょって来ると、つるにぐっと足をかけてのぼりはじめた 運動はけっこう得意なんだ 特に木登りは、お父さんがよくおしえてくれたから得意中の得意だ 豆のつるは初めてだから、ちょっとのぼりにくいけど 屋根をこえて外に出ると、冷たい風がひゅるっと吹いて寒かった パーカー着てくればよかったな、と思っていたら、もう雲の上だった びっくりするくらい、あっという間だ
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加