帳の中1

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 おじさんと出会ったのは、いつの頃だっただろうか。 しかし今はおじさんとは呼んでいない。 「筒井さん」 そう、前方五十メーター程先に見えた背中に叫んでみた。  自分と筒井さんとの間には、大河の様に隔てる二車線道路が横たわる。  張り上げた私の声は、大型トラックのエンジン音に散り散りに掻き消された。 早く、はやく変われ 赤い信号機が心底嫌になる。足踏みをした。  筒井さんは先程から此方に気付いて、 笑いながらジーンズのポケットをがさつかせていた。 アレはきっと、煙草を探しているんだ。 緑色の箱に入ったマルボロ。
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