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 女の子が立っていた。 駅前のロータリーの、ショーウィンドーの前で、その中を覗き込んでいる。  自分は反射を利用して、彼女の顔を見た。  今の自分の顔に余りにも似すぎていて 危うく煙草を口から落としそうになった。 なんだってこんな薄着をしているのだろう。 少女は薄出の赤いセーターを着ていて、 コートはおろか防寒具ひとつも身に付けてはおらず、見ているこちらが寒くなってしまう。 「どうしたんだ、」 声を掛けてみた。  彼女は首を回して、僕の方を見上げた。 真っ赤な頬をしている。 眼は潤んで、ゆらゆらと頼り無げに揺らいでいた。
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