わたあめ

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私を乗せた電車が進む 大きな荷物で動きずらい空間 窓側に座って眺める見慣れた街の錆びた景色 貴方の言葉に従ってレールの上を走る 準備万端でも急に心配になるの 私もまだ知らない景色の中 貴方は待っていてくれるのだろう 長い道のりの中でも時めいている 鼓動と一緒に愛が飛び出そう このままじゃ緊張しすぎて困らせてしまうんじゃないかな? なんて気持ちはゴールまで続いてく もう言い訳しないよ 貴方の事が好き 爪も綺麗にしてもらったし 今日は髪のセットに一時間は掛けた 全て貴方の理想に近付けて 着飾って普段よりも派手な私 鏡を見て電車を降りれば 見たこと無い人の多さと 見渡しても貴方が見つけられない 慌てて足を踏み外してしまいそう 不安げな顔で眺めた世界で時間が止まる 貴方の声で痺れる 笑顔で手を引く貴方はいつもよりも大人に見えた たくさんの香水が混ざって眩暈がする だけど不思議と貴方の香りは安心するの トランクを引きずって先頭をきる貴方の背中は 夢にまで見てきた未来の扉に見えた キラキラしたその姿に私は救われる この街の風景も華やか過ぎる明かりも好きになれるかな? 温かくて大きな手で私の人生が幸せに包まれる 最近では呆れる位冒険家になってしまいました 貴方が教えてくれたから 此処から始まる日常もきっと楽しいわ 私を降ろした電車が去って行った 最終便は去って行った
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