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「まあいい」俺が言った。「と
にかく、『端の切れたコート』
が『非非コートx(xは任意の
記号)』な訳だ。よし、トリニ
チィ、『非非コートx(xは任
意の記号)』にある『穴y(y
はxを含まない任意の記号)』
の『確からしさ』が消滅するま
で、『非非コートx(xは任意
の記号)』を前提①から⑤に従
って切り刻むんだ」
トリニチィは延々と切り続け
た。『非非コートx(xは任意
の記号)』は段々と『非非コー
トn+1(n≧0)』となって
いき、『穴m+1(m≧0)』
は段々と大きくなって来た。や
がて、『非非コートn+1(n
≧0)』は肉眼で確認できない
程に細い輪となり、最終的には
俺の救世主の能力でプログラム
を見ながら切り、単位原子の厚
みを持った輪となった。
「これ以上は無理のようね…」
トリニチィがつぶやいた。
俺は携帯を取り出すと、叫ん
だ。
「オペレーター! 俺にはレト
リックスが理解できない! 俺
は救世主じゃなかったの
か!?」
「落ち着くんだネ才。お前は間
違いなく救世主だ。俺はモーフ
ィアヌを信じると約束した。と
りあえず預言者に従ってキーメ
イカーを探すんだ。そしてレト
リックスのソースに辿り着けれ
ば、その謎も解明する…」
「どうした?」
「大変だ!」オペレーターが叫
んだ。「25万のセンティネノレ
がネブカドネザノレ号に急接
近! 大至急帰還するんだ!
三人とも、早く電話を!」
携帯の向こうから、大爆音が
聞こえてきた。どうやらやられ
てしまったらしい。目の前で、
モーフィアヌとトリニチィが力
なく倒れた。俺も意識が遠のい
ていく。救世主じゃなかったの
か…? レトリックスとは一
体…。
頭の奥底で、ソースの声が響
いた。
「前任者はもっと優秀だったの
だが…」
おしまい
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