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「ネ才、もしお前が真実を見た
いのなら、赤のカプセルを選択
しろ。現在のままでいたいのな
ら…」
「お前はもういい」俺が言っ
た。「よく考えてみよう。物事
の蓋然性なんて、そうは長続き
しないもんだ。1日目、2日
目、3日目…n日目と毎日餌を
与えられた鶏も、n+1日目に
は殺されて市場に並ぶんだ。よ
し、トリニチィ、前提④に違反
してみよう」
「わかったわ」
トリニチィは頷くと、コートの
端を、0.1mmくらいの幅で丁寧
にカッターで切り始めた。最終
的に、大きなレザーの輪と、端
を0.1mmだけ切られたコートが
残った。
「レザーの輪は、前提④に従う
と、非コートBになるのか…
否、Cだっけ? まあいい。端
の切られたコートは、『コート
BまたはC』だ。そして『コート
BまたはC』に残っている穴は、
『穴γまたはε』だ」
「ちょっとまって」トリニチィ
が言った。「γの次はδじゃな
かったかしら?」
なにい? そうだったか?
「解った」俺が言った。「『穴
γまたはδまたはε』だ」
「まて」モーフィアヌが言っ
た。「γとδとεのうちどれか
二つが成り立たないのなら、そ
の論理表現は間違っているぞ」
間違っているのか…? よく
解らなくなってきたぞ。
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