2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……舞?どうしたの?」
傘の中で眉間に皺を寄せ立ち止まる私を由希が気付き心配そうに訪ねて来た。
「……だ、大丈夫。ちょっと頭が痛くなっただけ。すぐに治るから大丈夫。」
取り繕う笑顔は笑顔にはなっていなかったらしく、由希は私を横から支えてくれた。
「…舞、無理しちゃ駄目だよ?舞は何でも出来る人だけど、私達親友なんだから、私の前では無理しちゃ駄目だよ?」
天然さを振りまく由希だが、時々真を突くような事を言う。やはり私が男なら由希を放ってはおかないだろうと思いながら由希の心配そうにする視線を嬉しく感じていた。
でも何なのだろう。
雨……約束……
誰の声なのか、男の声なのか女の声なのか、それすら分からない。
雲は鈍色のままどこまでも続き、天使の舞い降りる隙間すらないくらいに…どこまでも…どこまでも…
最初のコメントを投稿しよう!