紫陽花

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少しまだ重たい頭を身体で支えながら歩くと、灰色の3階建ての校舎が見えてきた。 数年前に新しい校舎を増築したのはいいが、未だにコンクリートがむき出しのままに建っている。 噂では新校舎を建てる際に校長先生が変わってしまい、教育方針の違いから外壁を塗るペンキ代が残らなかったそうだ。 そんな無秩序な建設計画はあるのか、と舞は思ったが、別段気にすることもしなかった。 少し狭くなった校門に生徒達がぞろぞろと入って行く。鳥瞰図で視たら、収容所に入れられる哀れな罪人の様なものに見えるのだろうなと、鈍色の空を傘越しにチラと横目で見上げた。
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