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「虹のふもと! なんだかワクワクしない?」
「しねえよ! いつまでも子供じゃないんだから!」
山の向こうに掛った虹までの距離は、少なくとも徒歩で行けるようなものではない。というか、そもそも辿りつけるかどうかすら分からないのだ。
博人はみなもの手を振り払おうとしたが、みなもはなかなか離そうとしない。
「子供でもいいよ! 行ってみようよ!」
「断る! 俺は帰って勉強でもする!」
「しないのは分かってるもん! してたら博人くんの模試の結果がそんなに悪くなるはずがないもん!」
「ぐっ……」
図星である。
やはりと言うべきか、幼なじみの名は伊達ではなかった。
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