虹のふもとに何がある?

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(そうか。この時に聞いたんだな)  虹のふもとに宝物。  どこかで聞いたことのあるその言葉は、幼き日の記憶の中にあった。 (まさか現実になるとは思わなんだ)  ひと時の思い出旅行から帰ってきた博人は、額を流れる汗を拭った。 「……で、どこだよここは」  辺りに広がるのは稲の育った水田。建物らしいものといえば農具をしまっておく物置小屋ぐらいなもので、人家は近くに存在しない。 それどころか、車の気配も、人の気配もしない。  むせかえるような緑の匂いが鼻をくすぐり、深緑の山々が目に鮮やかである。
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