虹のふもとに何がある?

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「どこだろうね? 私にも分かんないや」  先を行くみなもは通学鞄を手に、道路のセンターラインの上をバランスを取りながら歩いている。  彼女の言葉に不安の色はなく、むしろこの状況を心底楽しんでいるような印象を受けた。 「おいおい……」  お気楽なみなもの様子に、博人は頭を抱えるしかなかった。  学校を離れて、最寄りの駅から終点まで電車に揺られ、降りた先の駅からバスに乗り込んだ。  そのバスの終点まで付き合ったあとは、虹のある方向を目指してひたすらに徒歩での移動。 (まるでタイムスリップしたみたいだな)  日本にもまだこんな風景が残っていたのかと、博人は内心驚いていた。
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