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「残念だなあ」
みなもは足元にあった小石を蹴飛ばした。
小石は道路を転々と転がり、水を湛えた水田の中にダイブする。
波紋が水面を走る。その先でまた別の波紋が起こり、バトンタッチをするように走っていく。
まるで小石の起点としたように、水面に次々と輪が広がっていく。
「げ、降ってきやがったか」
博人は空を見上げた。
鈍(にび)色(いろ)の空から水滴が降ってくる。その勢いは次第に強くなってきて、アスファルトを黒く濡らしていった。
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