虹のふもとに何がある?

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   雨が屋根を叩く音だけが聞こえる。  それは決して重苦しい沈黙ではない。二人は並んで座り、しばらく雨の奏でる音楽を楽しんでいた。 「ねえ、博人くん」  みなもが語りかけるような口調で言った。 「博人くんは何を悩んでいるの?」  唐突な発言ではあったが、博人にはみなもの言わんとしていることが何となく分かった。 「模試のことか?」 「うん」  みなもは足を伸ばし、ばたつかせるように動かした。 「私でよかったら、話を聞くよ?」    
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