虹のふもとに何がある?

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 受験生という身分で、今は何に一番力を入れなければいけないかということはよく分かっている。しかし、今は人生の大きな分岐点である。ここでの選択で自分の将来が方向付けられてしまうのだ。  果たしてここで、安直な選択をしていいのだろうか。  将来の姿が見えない状態で、周りや教師に促された選択をしていいのだろうか。  頑張らなければならないが、様々な問題が押し寄せてくる。  今の博人を苦しめているのは、そういう不安だった。 「ふーん、そっか」  幼なじみの告白を聞いたみなもはゆっくりと立ち上がると、小屋の入口に向かっていった。 「ね、博人くん」  外の景色を眺めているのだろうか。博人の位置からはみなもの表情をうかがい知ることはできない。 「博人くんはさ、虹の仕組みっていつぐらいに気づいた?」    みなもは振り返ることはなく、声だけでそう聞いてきた。    
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