虹のふもとに何がある?

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「みなも」  だが、彼女らしいと言えば彼女らしい。 「ん?」  博人に声を掛けられ、みなもはステップをとめた。 「お前は今、楽しいか?」  勉強することは苦しい。成績を上げることは難しい。だが、みなもはそんな素振りを一切見せていない。  みなもの様子を見ていれば訊かなくても分かる質問だった。しかし、博人は聞いてみたかった。  彼女の口から、その答えを。 「うん! とっても楽しいよ!」  そう言ってみなもは笑った。  それは夏空の元に背を目一杯に伸ばし、大きく花開いたひまわりのような、昔と変わらない笑みだった。  夕日に照らされた彼女の姿はまるで輝いているようで、博人は少し目を細めた。
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