虹のふもとに何がある?

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              ◆  真っ赤に燃える夕日が山の稜線を色濃く染める。  ここは空気が綺麗なのか、街で見るよりも鮮明な色合いを感じることができた。 「すごいねー。綺麗だねー!」  ここに来てからというもの、みなもはほぼノンストップではしゃぎっぱなしだったかもしれない。今も夕日を見て、感動と興奮で胸を躍らせている。  この無尽蔵とも言えるパワーは、一体どこからわき上がってくるのか。 「ああ、本当に綺麗だ」  しかし、博人がそのパワーに元気づけられたというのも事実。夕日に照らされた彼の顔に、迷いの色はなかった。  二人の住む街は沈みゆく太陽と同じ方向にある。夕日に向かって歩を進める彼らの背後には、ふたつの影がまっすぐに伸びていた。
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