虹のふもとに何がある?

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「結局さ」  鞄を肩に担ぎながら、博人は口を開く。 「虹のふもとにある宝物ってのは、どんなのなんだろうな」 「あれ? 信じてないんじゃなかったの?」  すかさずみなもが、悪戯っぽく博人の顔を覗きこむ。 「そりゃまあ、信じてないけどさ」  博人はみなもから視線を外し、後ろの空に目をやった。 「俺もロマンが分かるようになったのかな? なんつーか、気になるじゃん」  二人が目指した虹は、今はもうすっかり消えてしまっていた。  もしあそこでふもとまで辿り着けていたのなら、自分たちは一体どんな宝物を見つけていたのだろう。  博人はそんなことを考えていた。 「う~ん……。ね、博人くん」  しばらく顎に人差し指を当てて考え込んでいたみなもだったが、思いついたように博人を呼んだ。
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