虹のふもとに何がある?

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「ん?」 「えへへ、ちょっとここに来て」  なにか企んでいるような雰囲気のみなも。 「妙なことしたら怒るぞ?」  訝しげながらも、博人はみなもの指示に従って場所を移動する。と言っても、大きく移動することはなかった。  道路のセンターラインを挟んでみなもと向かい合い、右手には太陽が位置している。要は、体の向きを少し変えただけなのである。 「……これになんの意味があるんだ?」 「いいから鞄を置いて、手をこうやって伸ばすの!」  こんなに無邪気な笑顔を向けられては、断ることなど出来るはずもなく。 「分かったよ」  博人は鞄を道路に置いた。そして、みなものジェスチャーに従って手を伸ばす。  頭の前方、やや上よりに手を伸ばした格好になった。倒れそうなものを押さえているような、そんなポーズである。 「そうそう。そのままだよ」  みなもは嬉しそうに頷くと、今度は自分の手に持っていた鞄を道路に置いた。 「よっと!」  そして、背伸びをして博人の手に自分の手を重ねた。
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