虹のふもとに何がある?

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「……はい?」 「ふふ~ん」  意味不明という表情の博人と、なにやら満足そうなみなも。  遠目から見るとハイタッチをしているような感じになっているが、どうやらみなもの目的はそれではないらしい。 「で、これにどういう意味が――」 「ね、影、見てみてよ」 「……?」  博人は自分の左側に伸びる影を見た。  路面に差した大きな人形(ひとがた)と小さな人形は、それぞれ博人とみなもの影だ。そこから細い線が伸び、二人の中間あたりで交わっている。 「これってさ、虹が掛ってるように見えない?」  たしかに、二人の腕がアーチ状に合わさり、それぞれの体を結んでいるように見えなくはない。 「まあ、それっぽくは見えるけど」  それでも、みなもがなにを言わんとしているのか、博人には分からなかった。  それどころか、余計に混乱するばかりである。 「もう! 鈍いんだから!」  みなもは若干拗ねたように頬を膨らませたが、すぐに顔を綻ばせた。  そして、満ち溢れた自信をもって、声高らかにこう言った。 「つまり、私にとっての素敵な宝物は、博人くんってことだよ!」          
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