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「なにしてんの?」
ふと、水たまりにひとつの影が差した。
顔を上げると、そこには見知った笑顔があった。
「みなもか」
日差しに照らされた白波瀬(しらはせ)みなもの笑顔に、博人は目を細めながら言った。
「自分の馬鹿さ加減に辟易していたところだ」
「馬鹿さ加減?」
みなもは腕組みをした。
今は模試が終わって一息ついている放課後。
そして、彼の手には見覚えのあるプリントが二つ折りになって握られている。
「……ふーん、なるほどねえ」
彼の言葉の意味は想像に難くない。
「ちょっと失礼」
みなもは博人の隣に腰掛けた。
肩ほどまで伸びた髪がしなやかになびく。
「どれどれ? お姉さんに見せてみなさい」
言うが早いか、みなもは博人の手から模試の結果をひったくった。
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