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「そろそろ再開しなきゃなぁ……」
陽は立ち上がり、腰に手を当てて軽く体を反らした。
「あー、腰が鳴ってる」
「体が硬いだけじゃないのか?」
「それだけでこんな鳴ったら俺は病院行くよ」
冗談っぽくそう言って、陽は苦笑する。
「あ、」
陽が不意に声を洩らした。どうしたのか、という目で見ると、陽は気まずそうに頭を掻く。
「いや……あのさ。俺、硝と約束してたの思い出して、」
「え」
これは軽く予想外。さしずめプランI。
今から陽がいなくなるとして、二人で三分の一を片付けるのに約二時間。
それを一人でするとなると、つまりはその二倍の時間がかかるという事。
別に誰か応援を呼んだっていい。
別に今日一日で終わらせなければならないとも聞いてない。
でも、だけど、
「っ……悠?」
無意識に陽の腕を掴んでいた。陽の驚いたような声で我にかえり、慌てて手を離す。
「なに?」
「いや……硝、と。何の約束してたんだ?」
「え……と、」
俺の質問が予想外だったらしく、陽は少し考えるように間を開けて、
「買い物。付き合って、って……」
そう答えた。
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