もしもの話

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放課後の教室。 夕陽のオレンジが教室を染めるような光景なら少しはロマンチックかもしれないが、残念ながら今は秋。秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、みるみる内に外は暗くなってしまった。 そんな蛍光灯だけが頼りという教室の中にいるのは俺と白川涼太の二人だけ。 「なぁ、後コレだけ?」 「あー多分」 短い会話を交してから、作業に取り掛かる。まぁ作業なんて言ってもデカイ紙にぺたぺた紙を張り付けるだけの単調な作業。あ、作業でいいのか。 その単調な作業はあまりに退屈なので向かいに座りプリントをホッチキスで綴じている白川の説明でもするか。 白川涼太という人物は、黙っていれば顔もまぁまぁよく、中々頭もいい。 運動は人並みだ。あぁでも大体何でもソツなくこなす。 バスケットやサッカーでも活躍していた。 それならばさぞモテるだろう。そう考えるのは当たり前だ。 しかしながらこいつには、もっとモテ要素なるものがある。 それが、見た目と中身のギャップというやつだ。 こいつはそのギャップがすごい。
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