もしもの話

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どうでもいい話だが、こいつのギャップは昔から女子にウケがいい。 見た目のイメージと全然違って失望するのはごく僅かだ。あとの九割は、最初こそ驚くもののすぐに慣れ、むしろこっちの方がいいと声を揃えて言う。 「これで終わりだよね?」 白川が糊を塗りながら話し掛けてきた。 生物の何とかっていう本で読んだ事があるのだが、男というのは不器用なもので、二つの事を同時に行うのは難しいという。 それを見事に裏切るな。現に俺はお前の言葉に「うん」と返事するだけで手が止まる。 くそ、全く羨ましい野郎だぜ。 「なぁ萩原」 名前を呼ばれて我に返る。考え事をする時、他の事に気が回らないのは俺のクセだ。 あ、完成してる。結局最後の仕上げまで白川にやらせてしまった。 「萩原さぁ、この前二組の女子に告られたんだって?」 「よく知ってるな」 その情報は、やはり女子から仕入れているのだろうか。女子は噂など、回るのが速い。 ちなみに俺と白川は一組である。
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