もしもの話

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「……ふーん、そ。帰る時はいつも一人?」 大体は、と小さく答えた。 わざとじゃない。自分の出した声がびっくりするほど小さくて頼りなかっただけだ。 「え。じゃあもしかして告白OKしたの?」 そんなはずない。……もしかして、白川は俺がみんなに避けられてて一人だと思ってるのか? 避けてるのは俺なのに。 「……どうなの?」 白川の声が少し低くなった。声を潜めて、内緒話するみたいに。 「あー……」 どうでもいいだろ、とは言えなかった。 「断った」 短く一言。自分の声なのに他人の声みたいに聞こえてくる。 「え、なんで?」 「……どうでもいいだろ」 さっき言い損ねた言葉を言って口を閉じた。白川も、さすがにノリ気でないやつから無理矢理聞き出すなんて事はしないだろう。 思った通り、白川はけち。と呟いたきり黙っている。 「……白川、」 思ったより明るい声が出た。その声にハッとさせられる。俺は何を言おうとしてた? 打ち明けようとしてた。言霊の事。 ようやく俺がそこまで思いつめていたんだと知った。 気付かなかった。心身ともに、もう限界ギリギリだったって事に。
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