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どうしよう。
もし、白川に話すとする。
周りに言いふらすような事はしないかもしれないが、白川が俺から離れていくのは火を見るより明らかだ。
だからって言霊を使うのも嫌だ。
誰にも話すな。俺から離れるな。
そんな事言ったって、虚しくなるだけだろ。
はっきり言って辛い。辛いけど、白川が俺から離れていくのだけは、絶対に嫌だ。
「……やっぱ、いいや。なんでもない」
「言いかけてやめるなよ、気になる」
「どうでもいい事だし、気にすんな」
白川は不満そうに眉を寄せたが、すぐに何でもないように話し出した。
別れ道に来て、楽しい時間は過ぎるのが早いな。なんて思いながら別れの言葉を口にする。
「ああ、うん」
白川は間抜けな返事をして俺に背を向けた。
「……なぁ萩原」
その声に振り向く。が、白川は向こうを向いたまま話していた。
「萩原は『どうでもいいだろ』ってよく言うけど、萩原の話をどうでもいいとかよくないとか、決めるのは俺だから」
確かによく言う言葉だな。と妙に関心していると、急に白川がこちらを向いた。
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