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クスッと笑うと匠の前に回り込んだ。
「後腐れなくするため?」
匠「……だな」
「サイテー」
ケラケラ笑う姿に手を伸ばす。
「どうした?」
匠「ゴミ」
ゴミなんか付いていない。
でも触れたい。
匠(俺らしくねぇ。酔ったか?竜さんの代わりをするために傍にいただけなのに)
性以外で自分から女に触れたいと思ったことはないに等しい。
自分で仕掛けた罠に自分で掛かってしまったように思えた。
「匠」
不意に名前を呼ばれ、パッと手を引っ込める。
「疲れてるでしょ?寝不足みたいだし。最近、寝れてないの?」
頬に添えられた手に目を細め、グラつく感情を必死に抑え込んだ。
匠「……近いからな。母さんの命日」
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