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いわゆる義兄妹というやつだ。
でも歳は同じ。高校1年生。
この春から同じ高校に行くことになった。それが堪らなく嬉しくて、今にも泣きそうになる。
推薦入試の合格発表の日、どれだけ時間が長く感じたかわからない。
合否の入った封筒を受け取る列に並ぶあの時間。心臓は鼓動を増すばかりで、落ち着きも何もあったものじゃない。
そして自分の番になり、封筒を受け取る。合格か不合格か、ただそれだけ記されてある一枚の紙が入れられている封筒だ。
自分で言うのもアレだけど、成績は悪くなかった。部活もそれなりに良い成績を残したし、2年から3年にかけての委員会も委員長を務めた。友達も割と多い方だったと思う。…あ、それは関係無いか。
う~ん、でもあの時の面接はちょっと失敗しちゃったかな…。でも自分の言いたい事はちゃんと言えた。…はず。
「ふぅ…」
私は糊で封筒の口が閉じてあるのを、丁寧にはがしていく。
一緒に合格発表に来ていた美砂や優は何処に行ったんだろう。皆で見る約束だったのに…。
と、ふいに後ろから声がした。
「愛美、結果どうだった?」
「? …あっ兄さん!? えっ?あっ、いや…これから見るとこ…なんだけど」
「へぇー、そうなんだ。んじゃいい時に来たな」
優しい笑顔を向けて話し掛けてきたのは一人の男子生徒、兄さんだった。
私の大好きな、片想いの人。
肩まで伸びた髪を指でワシャワシャと掻いて、私の合否を聞いてきた。
というか兄さんの前で合否確認ですか。
…やばい。さっきより緊張してる。どうにか平静を保たないと。
「どうした?見ないのか?」
「へっ?い、いや見るよ。うん、見ます」
「何故敬語なんだ」
私の鼓動は異常なほどに活動している。兄さんが何を言ったのか、全く耳に入ってこない。
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