第一章『兄さん』

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いわゆる義兄妹というやつだ。 でも歳は同じ。高校1年生。 この春から同じ高校に行くことになった。それが堪らなく嬉しくて、今にも泣きそうになる。 推薦入試の合格発表の日、どれだけ時間が長く感じたかわからない。 合否の入った封筒を受け取る列に並ぶあの時間。心臓は鼓動を増すばかりで、落ち着きも何もあったものじゃない。 そして自分の番になり、封筒を受け取る。合格か不合格か、ただそれだけ記されてある一枚の紙が入れられている封筒だ。 自分で言うのもアレだけど、成績は悪くなかった。部活もそれなりに良い成績を残したし、2年から3年にかけての委員会も委員長を務めた。友達も割と多い方だったと思う。…あ、それは関係無いか。 う~ん、でもあの時の面接はちょっと失敗しちゃったかな…。でも自分の言いたい事はちゃんと言えた。…はず。 「ふぅ…」 私は糊で封筒の口が閉じてあるのを、丁寧にはがしていく。 一緒に合格発表に来ていた美砂や優は何処に行ったんだろう。皆で見る約束だったのに…。 と、ふいに後ろから声がした。 「愛美、結果どうだった?」 「? …あっ兄さん!? えっ?あっ、いや…これから見るとこ…なんだけど」 「へぇー、そうなんだ。んじゃいい時に来たな」 優しい笑顔を向けて話し掛けてきたのは一人の男子生徒、兄さんだった。 私の大好きな、片想いの人。 肩まで伸びた髪を指でワシャワシャと掻いて、私の合否を聞いてきた。 というか兄さんの前で合否確認ですか。 …やばい。さっきより緊張してる。どうにか平静を保たないと。 「どうした?見ないのか?」 「へっ?い、いや見るよ。うん、見ます」 「何故敬語なんだ」 私の鼓動は異常なほどに活動している。兄さんが何を言ったのか、全く耳に入ってこない。  
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