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突然だった。
「……ガイラルディア・ガラン・ガルディオス……」
ガイは振り返った。だが、そこには誰もいない。
「気のせい、か……」
昔の名前で呼ばれた、気がした。
ガイの旧名を知る者は決して多くはない。ましてやそう呼ばれることは滅多にないのだ。きっとただの空耳だったのだろうとガイは再び歩き出した。
──が。
「……っ!?」
急に表れた殺気と、急に現れた一人の少年。
そしてその手には、一本の剣。
「……何で……お前なんかが……」
ガイは知っている。この目は、彼の目は……復讐を誓った時の、あの目だ。
──来る……!!
そう思ったと同時にガイは剣を抜いて、向かってきた少年の剣を受け止めた。
「くっ……!」
華奢な体つきとは裏腹に力が強い。ルークと同じか、それ以上だ。
買い物袋を落としてしまったが、拾う余裕はない。
「──みゅ?ガイさん……どうしたんですの?」
「ミュウ……っ!逃げろ!!」
ガイはなんとか少年を振り払い、町外れへと走り去る。
「っくそ……待てっ!!」
体勢を崩すもすぐ立ち上がった少年も、ガイを追い走り去った。
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