3662人が本棚に入れています
本棚に追加
/1439ページ
「……うん。みんなにおやつ買って帰ろ?」
車椅子に座った奨くんをちょっと待たせて、おいらも靴を履くと、リハビリ室を出て、渡り廊下をゆっくりと進んだ。
「あっ! 奨くん。距離測るの忘れてたねっ!」
「……明日にしようよ」
普段では聞けない奨くんの気だるそうな声に、そうだね。と、おいらはエレベーターホールで下のボタンを押した。
直ぐに来たエレベーターに乗り込んで、1のボタンを押してしばらくすると、一階の吹き抜けのホールが広がる。
車椅子を押して、左手奥の売店を目指す。
よほど疲れているのか? 一言も言葉を発しない奨くんは、両肘を張るようにひじ掛けに押し付けて、なんとか身体を支えているように見えた。
「あれっ? 奨さん!」
コンビニの様な売店に入ると、聞きなれた可愛い声が横から聞こえた。
「拓も買い物?」
拓の方に車椅子を向けると、拓はちょっと屈んで奨くんを覗きこみ、お帰りなさい。と微笑んだ。
、
最初のコメントを投稿しよう!