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シリアス 第一章【律子―Ritsuko―】
恋愛なんてどれも不純で、人を愚かにする意外になんの役にも立たないものだと思っていた。
真面目だけが取り柄で、親の望むとおりの国立大学をストレートで合格して、卒業後は大手の印刷会社に就職、アタシの人生には一点の曇りもない。そのはずなのに、周りのみんなだってアタシを完璧だと、そう言うのに。
何故だろう、こんなに孤独で堪らないのは。独りぼっちなのは。
朝目覚めてまず律子がする事は、彼女が住むマンションの、1DKの部屋に溢れかえるたくさんの観葉植物たちに水をやることだ。
律子は幼い頃から生き物が苦手だった。
学校の飼育小屋で飼っている鶏やウサギはみんな不潔で、いつも嫌なにおいがして近づくことも出来なかった。
一度、無理矢理に担任に抱かされたウサギは熱くて、毛むくじゃらで、律子の小さな手の中でぴくぴくと絶えず動いていた。その例えようのない感触に律子は「気持ちが悪い」と言って、ウサギを放り投げて泣いた。その時から、ますます生き物がダメになったのだと律子本人は記憶している。
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