夜色猫と月

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「・・・なー、坂野」 「何ですか?万年補欠投手の瑞兎(みずと)君。」 「うっせー。・・・まだあいつのこと好きなのかよ」 「話しかけてきたかと思えばそんなことですか…」 呟きちょっと不機嫌そうになりながらも、坂野の目線はヘラヘラ笑うあいつから外れない。 俺は後ろにある階段に座り、そんな坂野を見る。 「・・・なんで分かったんですか?」 「何がだよ、盗撮部の梨羽さん。」 「五月蝿い。…私が彼のこと好きだってこと。」 そんなことか…と今度は俺が呟く。 「お前、いっつもあいつのこと見てるだろ?」 そういうと坂野の目線が初めてあいつから俺に移った。 あ、ちょっと優越感。 なんて勿論口にも表情にも出さない。 「そんなにあからさまですかね…」 「そんなにあからさまだって。」 あいつのとなりに居るとすぐ分かるくらい。
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