始まりは唐突に

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春―――出会いの季節だとか言われているが、この俺春原亘にとってみればまた一年間学園に強制連行される嫌な季節なのである。 「はぁ」 入学式を終え、無事2年に進級できた次の日の朝の事だ。 俺はため息一つついて、我が学舎、『私立蓮條(レンジョウ)学園』へと続く600メートルもある不親切な坂を登っていた。 「オッス!どしたー?そんな不景気なため息ついて」不意に背後から声がかかった。 「あぁ、直樹か」 後ろに居たのは、我が大親友稲葉直樹だ。おそらく今、日本で最も忌むべき存在だろう
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